ネコマル
ろくみん
大学院生ってあまり多くないので実際の声を聞くことって少ないんですよね。
なので、元理系大学院生の私が実体験を基に大学院のメリットとデメリットを紹介していきたいと思います。
今後進学する予定の人は、この記事は一つの判断基準として使ってください。
見たい場所へジャンプ
筆者の紹介
まずは簡単に私の紹介から
- 理系地方国立大学の大学院を修了
- 大学では化学を専攻
- 大学院の推薦をギリギリ貰える程度の頭
- 現在は大手メーカーに勤務
私は通っていた大学の大学院にそのまま進学したので、いわゆる学歴ロンダリングはしておりません。
なので、他大学への進学を考えている人にとっては少し話がずれてしまうかもしれません。
ただ基本的な事は他大学に行っても変わらないので、参考程度に見ていってください。
ろくみん
大学院進学のメリット
社会人生活に向けた準備期間になる
大学生って年齢的には大人ですが、社会に出ればまだまだ子供同然です。
その点、院卒は教授や外部の方と話したり、報告会や学会で人前に立つことが多くなり、以下のようなスキルが自然に身についていきます。
こういった事はやはり、回数をこなすほど上達していきます。
院卒といえども、まだまだ未熟な部分は多いですが、学部卒が「子供」だとしたら院卒は「少年」くらいにはなれるのではないかと思います。

最先端の研究を行い、専門知識が身に付く
大学院では研究室に所属し、「研究」を日々行うことになります。
基本的に大学院での研究はその分野での最先端のものであり、過去の論文を読んだりしている内に専門とする分野について非常に詳しくなります。
ろくみん
こうした経験と知識は大学院でしか得られないので、関心の高い分野がある人にとっては大きなメリットになるのではないかと思います。
技術・スキルを活かせる職種に就職しやすい
ここでいう職種とは「開発」や「研究」といった、技術系の仕事になります。
こういった職種は基本的に大学院生が採用されることが多いです。
ろくみん
学部卒からそういった仕事に携わっている人もいますが、非常に少数です。
なので「営業」や「製造」などの仕事ではなく、エンジニアとして新製品を開発したいといった志を持つ人は大学院への進学を検討してみてください。
ただ注意しなければいけないのは「大学院での研究と近い仕事が出来る確率はあまり高くない」という事です。
開発や研究で企業に入社しても、そこからどういった事を担当するのかは会社が決めます。
ろくみん
特に部署や拠点の多い大手企業の方がその傾向は顕著なので、大手を狙っている人はその点についても念頭に置いておいてください。
昇進が早い
一般的に大卒入社と比べて院卒入社はいわゆる「出世コース」に乗ることが出来ると言われています。
出世すれば責任も増えてしまいますが、やはり昇進で給料が増えるのは誰でも嬉しいはず。
もちろん、これも入社した企業や部署の違いで大きく変わると思います。
ネコマル
ただやはり、「バリバリ働いて、どんどん出世したい!」という人は大学院にまで行った方が無難なのかなと思います。
「大学院での研究室生活」を経験できる
これは個人的に思うメリットなのですが、大学院での研究室生活を経験した思い出ってとても貴重です。
普通の人は大学院での生活をほぼ知らないんですが、実は色々忙しく働いてます。

勉強して、研究して、資料作って、学会に出てと大忙しです。
ただ半分仕事のように働いていても、区分的にはまだ「学生」です。
周りにいるのも年の近い先輩と後輩が基本ですが、上司的な立場の教授もいます。
ネコマル
そういった環境下で二年間研究室生活を送ること自体が、今後の人生における大事な経験になるんじゃないかなと思うんです。
ろくみん
私の周りの大学院卒の友人も口を揃えて「大学院は大変だったけど、いい経験になった」と言っていますしね。
ストレス耐性・社畜耐性が付く
大学院生ってめちゃくちゃ忙しい。
普通にやることが終わらないばかりでなく、企業ではないので労働基準法なんてものはありません。
さながらブラック企業の社畜社員のごとく働いている人も少なくありません。
だけれども、「まぁ何とかなるか」と多少の事では動じない強靭なメンタルを鍛えることが出来ます。
ただ自分の限界を超えてしまい、鬱になってしまう人も多いです。
そういう場合は、特に研究室選びで失敗しているパターンが非常に多いです。
なので研究室選びをまだしていない人は、大学院での進学の前に研究室選びに全力注いでください。

自分の可能性を知ることが出来る
上述のように、生活リズムが完全に壊れたスケジュールで過ごしていると「あっ、これ流石に無理だわ」という肉体の限界点が分かってきます(笑)
それと同時に、「俺って本気出せばこんなに出来るのか!」という自分の秘めたる可能性にも気が付くんです。
これが一つの大きな成功体験として蓄積され、人間的に大きく成長することが出来ます。
ネコマル
戦友を得られる
研究室の同期とは非常に長い時間を、一緒に研究室で過ごすことになります。
実家通いの人でも、実の親より研究室の同期といる時間の方が長かったくらいですからね。
私の場合は幸い気の合う同期と会えましたが、彼らとは研究室に入るまでほとんど話したことは無かったんです。
ほとんど互いを知らない状態からでも、あれだけ忙しい生活を助け合いながら過ごしていれば、自然と仲良くなれます。
ろくみん
そうやって互いに乗り越えてきた仲間たちは、私にとって普通の友人とは少し違う、とても大切な存在です。
彼らのような友人を持てたというだけで、「大学院に行って良かったな~」と思えます。
私にとってはそれくらい大きなメリットでした。
大学院進学のデメリット
学費がかかる
まずはやっぱり「お金」の問題。
大学院って同じ大学からそのまま進学しても、再度入学金を払う必要があるんです
ほぼ同じ大学じゃん!!なんで払わなきゃダメなんだ!
ってなりません?ちなみに私はなりました(苦笑)
しかもそれだけじゃなくて、授業料も普通にかかります。
私は国立理系だったので年間60万くらいで、私立と比べればとても安い値段でしたがそれでも大きな負担。
大学院まで行かなければこれだけの額になっていなかったので、やはり「学費がかかる」というのは大学進学のデメリットなのかなと思います。
単調な生活になりがち
大学院では、基本的に研究室の人にしか会いません。
お金も時間もあまりないので、「学校と家の往復」のみの生活になりがちです。
こうなってしまうと、「何のために生きてるんだ…」状態になりやすく、精神衛生上あまりよろしくありません。
なので忙しさの合間を縫って「アルバイト」や「お出かけ」などを積極的に行って、外とのつながりを意識して生活する事をオススメします。

お金を払って作業をしている気分になる
会社員は「労働」の対価として「報酬」をもらいます。
これは労働という負の要素を、報酬という正の要素で補うことでバランスを保っています。
では大学院生はどうかと言うと…
「労働(研究)」の対価として「賃金」を払っています。
ネコマル
厳密には完全にこうなっているわけではありませんが、少なくとも私はこのように感じることがありました。
修士の学生の研究は「教授がやりたいことを、忙しい教授に代わってやる」というスタンスです。
言い換えれば「教授の手と足になって代わりに働く」というような感じです。これが先ほど言った「労働」の意味です。
これ以外にも、色々な頼まれごとをされたり、研究室での雑用があったり。やることはたくさんあります。
でもいくら働いても無給ですし、何なら学費を払っている分マイナスです。
ろくみん
私たちは学生として先生に教えていただいている立場です。
実際、修士号や博士号を取るために大学院に来ているので、それを対価に「賃金」を払っていると考えればバランスはとれます。
ただやはり、毎日忙しく作業してもお金ももらえないという状況なので、「労働」して「賃金」を払うようなイメージになってしまっています。
私は研究室がまともだったので、そのように感じる場面は少なかったですが、ブラック研究室で良いようにこき使われているような人はこのように思う事が多いようです。
社会に出るのが遅くなる
大学院に行けば、卒業まで最低でも2年はかかります。
留年や浪人が無く、ストレートの場合でも卒業した時には24歳。
大卒の人はもう社会人三年目という事もあり、空前の結婚ラッシュが訪れます。
「出来るだけ早く結婚したい」「〇〇歳までに結婚したい」というような事を考えている人には大きなデメリットとなるのではないでしょうか。
またそれ以外でも、「年齢制限のあるもの」に対しても不利になってしまうため、何か特別やりたいことがあるという人は大卒で就職した方が良いかもしれません。
専門的になって視野・幅が狭まる
進学のメリットとして、その分野での専門知識とスキルが身に付きます。
でもそれは同時に「視野や幅が狭まってしまう」というデメリットを抱えています。
大卒での就活では私のように「化学」を勉強していても、比較的容易に「銀行」や「商社」などといった、ほとんど関係のない会社にも容易に入ることが出来ます。
これは大卒が「大卒程度の頭を持っている人」という認識で採用されているためです。
では大学院卒ではどうなるのかと言うと、「専門分野を勉強して、特定分野の専門知識を持った人」という認識をされます。
そのため、理系院卒が「銀行」などの研究と全く関係の無いところに行く場合、
と120%聞かれてしまいます。
実際、合格する人も普通にいるとは思いますが「若い大卒ではなく、あえて高給を払って院生を雇うメリット」を会社に提示できなければ合格は難しいです。
ただこれは「研究や開発がしたい」という人には関係の無い話ですし、そういうデメリットもあるんだな~という認識でも構いません。
忙しさで生活リズムが壊れる
これは上述した「大学院性は忙しい」という話と関係するのですが、「生活リズムがくずれやすい」というのは一つのデメリットではないかと考えています。
人間は基本的に「昼に起きて夜に寝る」ことを正常とする生き物です。
なので無理に昼夜逆転したり、寝ずに作業などをしてしまうと、すぐに体調不良になってしまいます。
ネコマル
その点、大学院生は〆切に追われて夜中や朝方まで作業するなんてことが結構あります。
加えて夜食にカップラーメンを食べ、エナジードリンクで元気を出すなんてこともしています。
ろくみん
若さに任せて力任せに乗り切っているだけで、耐性が無い人の場合すぐにギブアップしてもおかしくありません。
ただこれも毎日そうなっているわけではありませんし、日々の工夫で多少の改善が可能な項目です。
やるべきことを先取りして、事前にやっておく習慣がある人はおそらく大丈夫でしょう。
ろくみん
卒業と進学。どっちが良い?
冒頭でも言いましたが、やはり私は「進学した方が良い」と考えています。
というのも私自身「大学院に行ったから得られたもの」が沢山あるなぁと感じているからです。
これらは全て「大学院生にならなければ得られなかったもの」です。
ぶっちゃけた話、
といったものは大学院に行かなくても、会社で学ぶことが出来ます。
ここで大事なのは、「大学院に行かなければ得られなかったものがある」ということ事です。
辛いことや大変なことも多くありましたが、振り返ってみると「楽しかったな~」「大学院に行って良かった~」と心の底から思います。
一度社会人になっても大学院に行くことは可能ですが、とても大変です。
社会人で大学院に来ている人を知っていますが、「会社の休みに大学へ行って研究」という途轍もないハードワークをこなして生活しています。
こんなのが出来るのは一部の超人くらいで、普通の人には到底真似できません。
そうなると、普通の人にとっては大学院に行く機会って「一度きり」しかないのかな~と。
私自身「もうこのタイミングしか大学院に行く機会無いし、興味あるから行ってみよう!」というテンションで進学しましたし、それがベストな選択だったと思っています。
ただやはり、人によって色々違うのでそれぞれの「正解」があると思っています。
今回挙げたメリットやデメリットをよく見比べて、悔いのない選択をしてください。
まとめ
自分にとってのベストな方法は、自力で判断しなければいけません。
進学か卒業か、まだ迷っている人は「行動あるのみ」です。
このまま一人で悩んでいても、迷いが晴れることはありません。
大学院について知りたければ「ネット」・「現役大学院生」・「教授」・「友達」などに当たってみましょう。
卒業後の企業について知りたければ「就活サイトへの登録」・「説明会・インターンシップへの参加」などなどやれることはたくさんあります。
実際、学部時代にインターンシップへ参加して院進学することに決めたという人も多いです。またその逆もしかり。
とりあえず行動してみない事には、何も始まりません。
後で後悔しないためにも、出来ることは早めにやってしまいましょう。
[…] […]